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隠袋

いんふくろ
名詞
1
標準
文例 · 用例
次にチョッキの隠袋から、何か小さなものを出して、火縄でそれに点火したのを、手早く筒口から投げ入れると、半秒足らずくらいの後に、爆然と煙が迸り出て、鈍い爆音が聞える。
寺田寅彦 雑記(2) 青空文庫
軽い双眼鏡 今度ロンドンのネグレッチ・アンド・ザンブラで売り出した新形の双眼鏡「ミニム」というのは従来の双眼鏡中で最も軽いものである、その倍率は八倍で重量七十五匁くらい、柔らかい皮袋に入れて隠袋に収めるように出来ている。
寺田寅彦 「万年筆」欄より 青空文庫
しばらくして「ヴィクトル」は、……「ヴィクトル」は花束を草の上に取り落してしまい、青銅の框を嵌めた眼鏡を外套の隠袋から取りだして、眼へ宛がおうとしてみた、がいくら眉を皺め、頬を捻じ上げ、鼻まで仰お向かせて眼鏡を支えようとしてみても、――どうしても外れて手の中へのみ落ちた。
イワン・ツルゲーネフ Ivan Turgenev あいびき 青空文庫
「ヴィクトル」は衣服の裾で眼鏡を拭い、ふたたび隠袋に納めて、「それゃア当座四五日はちッとは淋しかろうサ」ト寛大の処置をもって、手ずから「アクーリナ」の肩を軽く叩いた。
イワン・ツルゲーネフ Ivan Turgenev あいびき 青空文庫
黒羅紗の半「フロックコート」に同じ色の「チョッキ」、洋袴は何か乙な縞羅紗で、リュウとした衣裳附、縁の巻上ッた釜底形の黒の帽子を眉深に冠り、左の手を隠袋へ差入れ、右の手で細々とした杖を玩物にしながら、高い男に向い、「しかしネー、若し果して課長が我輩を信用しているなら、蓋し已むを得ざるに出でたんだ。
二葉亭四迷 浮雲 青空文庫
野々宮君は少時池の水を眺めてゐたが、右の手を隠袋へ入れて何か探し出した。
夏目金之助 三四郎 青空文庫
隠袋から半分封筒が食み出してゐる。
夏目金之助 三四郎 青空文庫
美禰子」 其字が、野々宮さんの隠袋から半分|食み出してゐた封筒の上書に似てゐるので、三四郎は何遍も読み直して見た。
夏目金之助 三四郎 青空文庫