苔清水
こけしみず
名詞
標準
文例 · 用例
苔清水湧きしたたり、日の光透きしたたり、橿、馬酔木、枝さし蔽ひ、鏡葉の湯津真椿の真洞なす水上は思ふべきかな。
— 北原白秋 『海豹と雲』 青空文庫
ひゞきに近よりて何ぞと尋ぬれば、岩より落つる一すじの苔清水、かたわらなる石に彫りつけたるは、露とく/\こゝろみに浮世すゝがばやと讀まれたり。
— 島崎藤村 『山家ものがたり』 青空文庫
十二月十四日落葉の自画に題すわれもまた落葉に埋る苔清水あるかなきかのかそけさに生く十二月二十四日 〔昭和十五年(一九四〇)〕庚辰元旦六十二翁自在身 六十二翁自在の身、夢描妙境樂清貧 夢に妙境を描いて清貧を楽む。
— 河上肇 『閉戸閑詠』 青空文庫
また、苔清水の滴つている岩の肌にうす紫のこまかな花の咲いてゐるのがあつた。
— 若山牧水 『鳳來寺紀行』 青空文庫
一人は澎湃奔放たる濁流を望み、ひとりは山影の苔清水をなつかしむ。
— 長谷川時雨 『こんな二人』 青空文庫
社家の門を離れた自来也鞘の侍は、神主へ一応の念を押してから、安心したように、そこからなお、右折左折、苔清水に濡れた石段を上って、やがて、神さびた額堂の方へスタスタと歩いて行く。
— 上方の巻 『鳴門秘帖』 青空文庫