路辺
ろへん
名詞
標準
文例 · 用例
芝居を出たのは彼是れ五つ(午後八時)過ぎで、贅沢な人は茶屋で夜食を食って帰るものもありますが、大抵は浅草の広小路辺まで出て来て、そこらで何か食って帰ることになっている。
— 岡本綺堂 『三浦老人昔話』 青空文庫
親子棄てられて路辺に餓死するのを、私は親子の名誉、家の名誉と思ふのです。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
こんな倉庫と物揚げ場との多いごちゃごちゃした界隈ではあるが、旧両国|広小路辺へもそう遠くなく、割合に閑静で、しかも町の響きも聞こえて来るような土地柄は、多吉の性に適すると言っているところだ。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
わが越ゆる岡の路辺のすすきの穂まだ若ければ紅ふふみたり の頃もよく、十五夜十三夜のお月見に何はなくともこの花ばかりは供へたく、また、秋もいつしか更けて草とりどりに枯れ伏したなかにこの花ばかりがほの白い日かげを宿してそよいでゐるのも侘しいながらに無くてはならぬ眺めである。
— 若山牧水 『秋草と虫の音』 青空文庫
南京路辺の雑踏中のアパートの上層で、他地から移ってきた大学分校の授業が続けられてるのは、種々の事情上やむを得ないことであるとしても、北京路辺の元からある小学校などでは、隣家の裏口の洗濯の音が、教室内にまで遠慮なく飛びこんで来るのがある。
— 豊島与志雄 『上海の渋面』 青空文庫
二 それから両国の広小路辺にも随分物売りがいたものだった。
— 淡島寒月 『梵雲庵漫録』 青空文庫
聞クナラク浅草公園上野広小路辺ノ洋風酒肆近年皆競ツテ美人ヲ蓄フト。
— 永井荷風 『申訳』 青空文庫
万葉歌のイチシ 万葉人の歌、それは『万葉集』巻十一に出ている歌に「みちのべのいちしのはなのいちじろく、ひとみなしりぬあがこひづまは」(路辺壱師花灼然、人皆知我恋※)というのがある。
— 牧野富太郎 『植物一日一題』 青空文庫