持ち来たす
もちきたす
動詞
標準
文例 · 用例
その省察の持ち来たす概念がどうして宿命的な色彩を以て色づけられないでいよう。
— 有島武郎 『惜みなく愛は奪う』 青空文庫
交通の持ち来たす変革は水のように、あらゆる変革の中の最も弱く柔らかなもので、しかも最も根深く強いものと感ぜらるることだ。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
山家の旅籠屋らしい三浦屋の一室で、ホルサムはそんなことを考えて、来たるべき交通の一大変革がどんな盛衰をこの美しい谷々に持ち来たすであろうかと想像した。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
さういふ時には、世間はいろいろな注文を私達に持ち来たす。
— 田山録弥 『静かな日』 青空文庫
自己の行為の騒々しい弁解は、それが正当になさるべき権利をもっておる場合においてすら、決して相手を十分に説服することができないばかりでなく、自分自身の心にも平和を持ち来たすことは不可能である。
— 三木清 『語られざる哲学』 青空文庫
考えた結果に従ってある範囲までは自分の態度なり周囲へのおよぼし方なりに何か持ち来たすこともできる。
— ――常識とはどういうものだろう―― 『山の彼方は』 青空文庫
」「で、我らは兇器を弱め、もってこの世から戦いを絶ち、平和を持ち来たす考えでござる」遊説 すると常氏は笑い出したが、「お説としては面白い。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
私は人々が熟知しながら醜いことを明るみに持ち来たすことを好まない清い心から沈黙していることを愚かにあばいたのであろうか。
— 倉田百三 『愛と認識との出発』 青空文庫