黒絹
くろきぬ
名詞
標準
文例 · 用例
黒絹の手袋した右手に金金具、茶なめし皮のオペラパツクを、左手に派手な透模樣のパラソルを、そして、金紗づくめのけばけばしい着附、束髪に厚化粧、三十三四と見える年頃が、停車中の車内のむしむした、變にダルな空氣をぱつと引き立たせるに十分だつた。
— 南部修太郎 『女盗』 青空文庫
伊達に眼鏡をかけたり、黒絹のハンカチを巻いたりしている。
— 小林多喜二 『不在地主』 青空文庫
みや子は、黒絹の襟巻にくるまり、黙って暫く良人の手元を見ていたが軈て、「あなた」と呼びかけた。
— 宮本百合子 『伊太利亜の古陶』 青空文庫
大きな仕立台に向って、伯母のタマーラが田舎住居にしては白い、丸いおでこをふせて黒絹のユーブカへ飾紐をつけている。
— 宮本百合子 『赤い貨車』 青空文庫
白レースを額の前につけ黒絹靴下できりっとした給仕女である。
— 宮本百合子 『ロンドン一九二九年』 青空文庫
彼女は見事な黒絹の衣裳をさらさらと鳴らしながら、そっと肘椅子へ腰をおろすと、高価な黒い毛織のショールで、乳のように白いむっちりした首と幅の広い肩をあでやかにくるんだ。
— 上 『カラマゾフの兄弟』 青空文庫
晴れた日に黒絹の雨傘を持つて出る用心深さを僕は愛する。
— 岸田國士 『衣食住雑感』 青空文庫
黒絹の上衣は壁に掛けてあつた。
— ブロンテイ 『ジエィン・エア』 青空文庫