嵐気
らんき
名詞
標準
mountain mist
文例 · 用例
嵐気漓る、といふ癖に、何が心細い、と都会の極暑に悩むだ方々からは、その不足らしいのをおしかりになるであらうが、行向ふ、正面に次第に立累る山の色が真暗なのである。
— 泉鏡太郎 『十和田湖』 青空文庫
夏の暑さのために縁の外の葦竹、冬の嵐気を防ぐために壁の外に積む柴薪――人間が最少限の経費で営み得られる便利で実質的な快適生活を老年の秋成はこまごまと考へて居た。
— 岡本かの子 『上田秋成の晩年』 青空文庫
が、山々の緑が迫って、むくむくとある輪廓は、霄との劃を蒼く、どこともなく嵐気が迫って、幽な谷川の流の響きに、火の雲の炎の脈も、淡く紫に彩られる。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫
なほ『准南子』には、障気に盲者多く、嵐気に聾者多く、林気に瘤者多く、木気に傴者多く、岸下の気に腫者多く、石気に大力者多く、谷気に痺者多く、丘気に狂者多く、陵気に貪者多く、流水の気に仁者多く、暑気に夭者多く、寒気に寿者多しなどと説いている。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
輙ち橋を渡りて僅に行けば、日光|冥く、山厚く畳み、嵐気冷に壑深く陥りて、幾廻せる葛折の、後には密樹に声々の鳥呼び、前には幽草歩々の花を発き、いよいよ躋れば、遙に木隠の音のみ聞えし流の水上は浅く露れて、驚破や、ここに空山の雷白光を放ちて頽れ落ちたるかと凄じかり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
西蔵のちひさな鐘むらさきのつばきの花をぬりこめて、かの宗門のよはひのみぞにはなやかなともしびをかかげ、憂愁のやせさらぼへた馬の背にうたたねする鐘よ、そのほのぐらい銀色のつめたさはさやさやとうすじろく、うすあをく、嵐気にかくされた その風貌の刺のなまなましさ。
— 大手拓次 『藍色の蟇』 青空文庫
荷を負ひて旅|商人の朝立ちしわが隣室も埋むる嵐気 これも小河内の夏の朝の光景である。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
川から吹き上げる嵐気が室にあふれる。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
作例 · 標準
山頂に近づくにつれて、あたりには深い嵐気が立ち込めてきた。
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朝早く、谷間にはまだ嵐気が漂い、幻想的な景色を作り出していた。
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嵐気の中で、遠くの景色がぼんやりと霞んで見えた。
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