郵書
ゆうしょ
名詞
標準
文例 · 用例
ところがその閑事としてあったのが嬉しくて、他の郵書よりはまず第一にそれを手にして開読した、さも大至急とでも注記してあったものを受取ったように。
— 幸田露伴 『野道』 青空文庫
当分当地に滞在する由をしたためて、東京の兄や友人らに郵書を送る。
— 岡本綺堂 『慈悲心鳥』 青空文庫
満洲の秋は早いので、もう薄寒い風の吹き出した夕暮に、内地から郵便物が到着したという通知があったので、わたしたちは急いで師団司令部へうけ取りにゆくと、岡本宛の分として五、六通の郵書とひと束の新聞紙とを渡された。
— 岡本綺堂 『明治劇談 ランプの下にて』 青空文庫
うす暗い蝋燭のあかりを頼りにして、わたしは先ず故郷の人々から送って来た郵書を読んで、それから新聞紙の束をほどいた。
— 岡本綺堂 『明治劇談 ランプの下にて』 青空文庫
家へ帰ると、ある雑誌社から郵書が来ていて、なにか随筆様のものを書けという。
— 岡本綺堂 『亡びゆく花』 青空文庫
彼は悄々停車場前の休憇処に入りて奥の一間なる縞毛布の上に温茶を啜りたりしが、門を出づる折受取りし三通の郵書の鞄に打込みしままなるを、この時|取出せば、中に一通の M., Shigis――と裏書せるが在り。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
午後は体もぬくもり殊に今日は痛もうすらぎたれば静かに俳句の選抜など余念なき折から、本所の茶博士より一封の郵書来りぬ。
— 正岡子規 『墨汁一滴』 青空文庫
それは西風|槭樹を揺がすの候にして、予はまずその郵書を手にするより父の手にて記されたる我が姓名の上に涙を落したり。
— 饗庭篁村 『良夜』 青空文庫