枉
枉
名詞
標準
文例 · 用例
』『イヤ全たく貴君の物で御座ます、けれども何卒か枉て私に賜りたう御座ます』『それで事は解つた、室を見なさい、石は在るから。
— 國木田獨歩 『石清虚』 青空文庫
自然の方則は人間の力では枉げられない。
— 寺田寅彦 『津浪と人間』 青空文庫
邦人移民排斥の法律を枉げてまでそうしたのは、カリフォルニヤを開拓した日本人の忍耐と努力を知っていたからであろうか。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
」詔使到来を待つの比ほひ、常陸介藤原維幾|朝臣の息男為憲、偏に公威を仮りて、ただ寃枉を好む。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
行方河内両郡の食糧を奪つたものを執へんとするものを、寃枉を好むとは云ひ難い。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
釜貞は他の不幸に際会して目的の無心も云へず、といふて明日の命を繋ぐ糧さへ無い我家を想ふと矢も楯もあらず、男を枉げ心を殺して幾許かの金を才覚して、大阪の家へ細※と認めた手紙に添へて送つてやり、自分は他の職を見つけるべく尚京都の縁者の許に身を置くのであつた。
— 幸田露伴 『名工出世譚』 青空文庫
席上鋳金に美術を求める、そんな分らない校長ではないと思っていたが、校長には校長の考えもあろうし、鋳金はたとい蝋型にせよ純粋美術とは云い難いが、また校長には把掖誘導啓発抜擢、あらゆる恩を受けているので、実はイヤだナアと思ったけれども枉げて従った。
— 幸田露伴 『鵞鳥』 青空文庫
教育にして的無く、教育を受くるものにして的とすべきところを知らざれば、讀書※畢は、畢竟蚊虻の鼓翼に異ならず、雪案螢燈の苦學も、枉げて心を勞し身を疲らすに過ぎざるものであらう。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫