幻辞.com

憶起

憶起
名詞
1
標準
文例 · 用例
漫に昨夜を憶起して、転た恐怖の念に堪へず、斯くと知らば日の中に辞して斯塾を去るべかりし、よしなき好奇心に駆られし身は臆病神の犠牲となれり。
泉鏡花 妖怪年代記 青空文庫
」 面喰った慌しい中にも、忽然として、いつぞのむかし吉原の横町の、ずるずる引摺った青い裳と、紅い扱帯と、脂臭い吸いつけ煙草を憶起すと、憶起す要はないのに、独りで恥しくなって、横を向いた。
泉鏡花 薄紅梅 青空文庫
この瞬間、誰が、その藍染川、忍川、不忍の池を眺めた雪の糸桜を憶起さずにいられよう。
泉鏡花 薄紅梅 青空文庫
猛然として憶起した事がある。
泉鏡花 夫人利生記 青空文庫
その身動きに、鼬の香を芬とさせて、ひょこひょこと行く足取が蜘蛛の巣を渡るようで、大天窓の頸窪に、附木ほどな腰板が、ちょこなんと見えたのを憶起す。
泉鏡花 国貞えがく 青空文庫
こうした疑念が起ッたので、文三がまた叔母の言草、悔しそうな言様、ジレッタそうな顔色を一々漏らさず憶起して、さらに出直おして思惟して見て、文三は遂に昨日の非を覚ッた。
二葉亭四迷 浮雲 青空文庫
「私はじっとしていられない性分だからね」とお島はくっきりと白い頬のあたりへ垂れかかって来る髪を掻あげながら、繁みの間から晴やかな笑声を洩していたが、預けられてあった里から帰って来て、今の養家へもらわれて行くまでの短い月日のあいだに、母親から受けた折檻の苦しみが、憶起された。
徳田秋声 あらくれ 青空文庫
されど、予は尚ほこの実験の事実が、万が一にも誇大自ら欺きしものにあらざるかを虞れて、其の後も幾度となく之れを憶起再現し、務めて第三者の平心を持して、仔細に点検したりしが、而かも之れを憶ひいづる毎に、予は倍※其の驚くべき事実なるを見るのみ。
綱島梁川 予が見神の実験 青空文庫