銀燭
ぎんしょく
名詞
標準
文例 · 用例
竹青に手をひかれて奥の部屋へ行くと、その部屋は暗く、卓上の銀燭は青烟を吐き、垂幕の金糸銀糸は鈍く光って、寝台には赤い小さな机が置かれ、その上に美酒|佳肴がならべられて、数刻前から客を待ち顔である。
— ――新曲聊斎志異―― 『竹青』 青空文庫
到る処に穂芒が銀燭のごとく灯ってこの天然の画廊を点綴していた。
— 寺田寅彦 『異質触媒作用』 青空文庫
第一に目を射たものは、そこの銀燭きらめく大広間の左右に、ずらりと居並んでいる、無慮五十人ほどにも及ぶ花魁群の一隊でした。
— 京人形大尽 『右門捕物帖』 青空文庫
友禅の模様はわかる、金屏の冴えも解せる、銀燭の耀きもまばゆく思う。
— 夏目漱石 『野分』 青空文庫
窓の真珠の簾を照らしていた陽の光が薄れて、銀燭が青い焔を吐きだしたところで、青年と仙妃の前には肴饌が並んだ。
— 田中貢太郎 『賈后と小吏』 青空文庫
広間の中央、床柱を背にして、銀燭の光を真向に浴びながら、どんすの鏡蒲団の上に、悠ったりと坐り、心持|脇息に身を靠せているのは、坂田藤十郎であった。
— 菊池寛 『藤十郎の恋』 青空文庫
二 越前北の庄の城の大広間に、いま銀燭は眩いばかりに数限りもなく燃えさかっている。
— 菊池寛 『忠直卿行状記』 青空文庫
今宵銀燭を列ねし栄耀の花、暁には塵芥となつて泥土に委す。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫