持ち堪える
もちこたえる
動詞
標準
文例 · 用例
けれども私は、そのころすべてにだらしなくなっていて、ほとんど私の身にくっついてしまったかのようにも思われていたその賢明な、怪我の少い身構えの法をさえ持ち堪えることができず、謂わば手放しで、節度のない恋をした。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
それを、岩角へ足をふんばって、ぐっと持ち堪える。
— 菊池寛 『俊寛』 青空文庫
しかし宗助が興味を有たない叔父の所へ、不精無精にせよ、時たま出掛けて行くのは、単に叔父|甥の血属関係を、世間並に持ち堪えるための義務心からではなくって、いつか機会があったら、片をつけたい或物を胸の奥に控えていた結果に過ぎないのは明かであった。
— 夏目漱石 『門』 青空文庫
無論、寄手のうちに交っている切支丹宗門の者や徳川幕府に恨みを含んでいる者は、一揆の長く持ち堪えることを望んでいたかも知れない。
— 菊池寛 『恩を返す話』 青空文庫
観客が持ち堪えることのできる天才と言えば、ごく少量の天才ばかり、髯をそり爪をきり毛をぬき香水をふりまいた流行型の天才ばかり……。
— JEAN-CHRISTOPHE 『ジャン・クリストフ』 青空文庫
それでも腰抜でも、わけがわからぬでも、お互が真面目であるというならば、ひょっとしたならばこの国を持ち堪えることができるかも知れぬが、馬鹿なくせに生意気で、悪い方へばかり上手になったというに至りましては、どこにも見所はなくなったのである。
— 大鹿卓 『渡良瀬川』 青空文庫