移気
うつりぎ
名詞
標準
文例 · 用例
――貴女の移気な恋愛のオアシス、近代女の株式、同盟破棄!
— 吉行エイスケ 『地図に出てくる男女』 青空文庫
移気、開豁、軽躁、それを高潔と取違えて、意味も無い外部の美、それを内部のと混同して、愧かしいかな、文三はお勢に心を奪われていた。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
で、若し好いた、惚れたと云ふのは上辺ばかりで、その実は移気な、水臭い者とも知らず、這箇は一心に成つて思窮めてゐる者を、いつか寝返を打れて、突放されるやうな目に遭つたと為たら、その棄てられた者の心の中は、どんなだと思ひますか」 彼の声音は益す震へり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
余りに移気だとは思はないか。
— 田山録弥 『不思議な鳥』 青空文庫
偶然に起つた彼の破廉耻な行爲が俄に村落の耳目を聳動しても、兎にも角にも一|家を處理して行かねばならぬ凡ての者は、彼等に共通な聞きたがり知りたがる性情に驅られつゝも、寧ろ地味で移氣な心が際限もなく一つを逐ふには年齡が餘に彼等を冷靜な方向に傾かしめて居る。
— 長塚節 『土』 青空文庫