寝沈
ねちん
名詞
標準
文例 · 用例
新座敷の方に休んだ豊世やお仙は寝沈まっていた。
— 島崎藤村 『家(下巻)』 青空文庫
子供等が寝沈まった頃、お雪は何か思出したという風で、平素にない調子で、「父さん、私を信じて下さい……ネ……私を信じて下さるでしょう……」 と夫の腕に顔を埋めて、終には忍び泣に泣出した。
— 島崎藤村 『家(下巻)』 青空文庫
――家々は、屋根に重石を一杯載せて、もうすつかり寝沈まつてゐた。
— 牧野信一 『鬼の門』 青空文庫
もう町は一帯に寝沈まつて、霧が深く閉してゐた。
— 牧野信一 『露路の友』 青空文庫
夏の月の夜、世人の寝沈まりたる頃、来りて、仏前二三間の処に跪きて、静かに仰ぎ見よ。
— 大町桂月 『鎌倉大仏論』 青空文庫
子供の持薬だの、近所の医者に診せた位では、覚束ないということを私達が思う時分は、最早隣近所では寝沈まっていた。
— 島崎藤村 『芽生』 青空文庫
それは病院へ来てから三日目の夜で、宿直の人達も寝沈まったかと思われる頃であった。
— 島崎藤村 『芽生』 青空文庫
弟の方は遅くまで眼を覚まして婆やを相手に子供らしい話をしていたが、やがてこれも寝沈った。
— 島崎藤村 『新生』 青空文庫