引き手繰る
ひきたくる
動詞
標準
文例 · 用例
遊びあきたのかと思つて、後ろを振り返ると、同時に、「お母さん、電報……」 渡された紙片を引きたくるやうにして、ひろげます。
— 岸田國士 『誰でもない……自分でもない』 青空文庫
若い衆達は髪の青葉を引っ手繰るし、3575わたし達は門口へ切藁を蒔いて遣るわ。
— FAUST. EINE TRAGODIE 『ファウスト』 青空文庫
」 と云うのを、聞かない振でさっさと引込もうとしたので、「あれ、お待ちなさい」と、下〆をしたばかりで、衝と寄って、ブラッシを引奪ると、窓掛をさらさらと引いて、端近で、綺麗に分けてやって、前へ廻って覗き込むように瞳をためて顔を見た。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
けれども、次第に畜生、横領の威を奮つて、宵の内からちよろりと攫ふ、漁る後から嘗めて行く……見る/\四つ手網の網代の上で、腰の周囲から引奪る。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
拔いた串に皮が開いて、小姉の手の上に飜つたのを、風呂敷ごと引奪るやうに取つて、奴は屋臺で、爲直しながら、「えゝ……まけて置け、一番。
— 泉鏡太郎 『松の葉』 青空文庫
今朝もエドワード夫人が手紙を受取って、母さんのところへ持っていったら、平常の母さんに似合わず、引奪るようにしてそれを持って、二階へ引込んでおしまいなすったのです」「それは林伯父さんの手紙ではありませんか」「真逆そんな事はないわ。
— 松本泰 『P丘の殺人事件』 青空文庫
実はその婦人が手紙を返してくれといいだして、僕が大切にしていた文束を引奪るように取って行ったのです。
— モーリス・ルヴェル Maurice Level 『ふみたば』 青空文庫