槊
槊
名詞
標準
文例 · 用例
板の間の乾びた、人なき、広い湯殿のようで、暖い霞の輝いて淀んで、漾い且つ漲る中に、蚊を思うと、その形、むらむら波を泳ぐ海月に似て、槊を横えて、餓えたる虎の唄を唄って刎ねる。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
法を護る諸天善神達は絢爛なる甲冑に槊、剣、戟、金剛杵、弓箭にて働く。
— 岡本かの子 『阿難と呪術師の娘』 青空文庫
横槊賦詩二十七「今晩は……清葉姉さん。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
英気|颯爽としてむしろ槊を横えて詩を赤壁に賦した、白面の曹操の概がある。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
もとよりあのくらいの潟だから、誰だッて漕げるさ、けれどもね、その体度だ、その気力だ、猛将の戦に臨んで馬上に槊を横えたと謂ッたような、凛然として奪うべからざる、いや実にその立派さ、未だに僕は忘れんね。
— 泉鏡花 『取舵』 青空文庫
安の槊ほとんど王に及ぶ。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
三国の代の英雄の曹孟徳が、百万の大軍を率いて呉の国を呑滅しようとしつつ、「月明らかに星|稀にして、烏鵲南に飛ぶ」と槊を馬上に横たえて詩を賦したのも丁度斯様いう夜であった。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
最も平和的であると信ぜられる仏教に於ても、涅槃経に「善男子正法を護持せん者は五戒を受けず威儀を修せずして刀剣|弓箭鉾槊を持すべし」「五戒を受持せん者あらば名づけて大乗の人となすことを得ず。
— 石原莞爾 『最終戦争論』 青空文庫