子守り
こもり
名詞
標準
文例 · 用例
小さい弟の子守りをしながら留守居をしていた祖母は、恥しがる京一をつれて行って、「五体もないし、何んちゃ知らんのじゃせに、えいように頼むぞ。
— 黒島傳治 『まかないの棒』 青空文庫
父親が子守り歌のようなものを歌ったり、口笛を吹いたりしても効能がない。
— 寺田寅彦 『旅日記から(明治四十二年)』 青空文庫
よそ目にもはらはらするようなそこらの日本の子守りと比べて、このシナ婦人のほうに信用のあるのはもっともである。
— 寺田寅彦 『軽井沢』 青空文庫
そこにはあのゆるやかな抑揚ある四拍子の「子守り歌」の代わりに、機械的に調律された恒同な雑音と唸り音の交響楽が奏せられていた。
— 寺田寅彦 『糸車』 青空文庫
子守りの家では、亭主に死なれた母親が、棕櫚縄などを綯って、多勢の子供を育てていた。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫
と、同時に、曾つては自分の妻にならうとまでしたあの女が、やがては雪も降らうと云ふ長岡へ、老いて痩せた母を呼び寄せ、下女同樣にこき使つて、安軍吏との仲に出來た多くの子の子守りをさせようとするのだらうと考へた。
— 發展 『泡鳴五部作』 青空文庫
「こいつは――」 不図私は吾にかえって、背中の重荷を、子守りがするように急にゆすりあげながら呟いた。
— 牧野信一 『ゼーロン』 青空文庫
人心を鼓舞するために新しく作られた「宮さま、宮さま」の軍歌は、言葉のやさしいのと流行唄の調子に近いのとで、手ぬぐいに髪を包んでそこいらの橋のたもとに遊んでいるような町の子守り娘の口にまで上っていた。
— 第二部上 『夜明け前』 青空文庫