朝煙
あさけぶり
名詞
標準
文例 · 用例
鯱と鯨の中へ、芝海老の如く、呑まれぬばかりに割込んで、一つ吻と呼吸をついて、橋場、今戸の朝煙、賤ヶ|伏屋の夕霞、と煙を眺めて、ほつねんと煙草を喫む。
— 泉鏡太郎 『大阪まで』 青空文庫
冬木弁天水溜りらしく深川江戸があり久良伎 隅田川架橋問題橋杭にされぬ鳥居が見付もの同 水神蓮池の哀れ工場に囲まれる同駒形も堀も肥田子桶になり同橋一つあつて千住は江戸の儘同朝煙りそれは今戸の瓦斯会社同 剣花坊翁へ移らう。
— 正岡容 『大正東京錦絵』 青空文庫
「男はお米と言ひ交した奴――、お米が昨日の朝煙草入を拾つてやつた奴」「野郎ツ、逃げるかツ」 見物の後ろから、コソコソと這ひ出さうとした甥の喜八郎は、とびついた八五郎に、むずとその襟髮を掴まれたのです。
— 蔵の中の死 『錢形平次捕物控』 青空文庫
陸前の登米で生まれた人の話に、この人の父は毎朝煙草をのむ前に、そのきざみを三つまみずつ、火入れの新しい火に置いて唱えごとをした。
— 柳田国男 『木綿以前の事』 青空文庫
わが朝煙草の変遷史大活劇村井のヴァジン事件「タバコ屋でござい」と、荷箱を背負って売りに来たのは明治の初年、出入りの得意先へ上り込んで、主人や細君を相手に世間話をしながら悠々と商売。
— 山本笑月 『明治世相百話』 青空文庫