薬売
くすりうり
名詞
標準
文例 · 用例
貴客には限りませず、薬売の衆、行者、巡礼、この村里の人たちにも、お間に合うものがござんして、そのお代をと云う方には、誰方にも、お談話を一条ずつ伺います。
— 泉鏡花 『夜叉ヶ池』 青空文庫
上を見ながら、之へ足を踏懸けた時、以前の薬売がすた/\遣つて来て追着いたが。
— 泉鏡太郎 『高野聖』 青空文庫
何処までも人を凌いだ仕打な薬売は流盻にかけて故とらしう私を通越して、すた/\前へ出て、ぬつと小山のやうな路の突先へ蝙蝠傘を差して立つたが、其まゝ向ふへ下りて見えなくなる。
— 泉鏡太郎 『高野聖』 青空文庫
捻つても確に活返つたのぢやが、夫にしても富山の薬売は何うしたらう、那の様子では疾に血になつて泥沼に。
— 泉鏡太郎 『高野聖』 青空文庫
そんなとき両者を比較して多少の興を覚えるように案配したわけである、などと、これではまるで大道の薬売りの口上にまさる露骨な広告だ。
— 太宰治 『鉄面皮』 青空文庫
」「ええ、兎には違ひありませんが、私は男の薬売りです。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
大勢の乗客の中に旅の商人が一人、 (薬売の様な風体) それが、話し手である。
— 山中貞雄 『武蔵旅日記』 青空文庫
子供らはこの薬売りの人間を「ホンケ」と呼んでいた。
— 寺田寅彦 『物売りの声』 青空文庫