手頃
てごろ
形容動詞
標準
文例 · 用例
時に、君のごひいきの作者らしいモームは、あれは少し宿酔させる作家で、ちょうど君の舌には手頃なのだろう。
— 太宰治 『如是我聞』 青空文庫
手頃な短い曲をいくつか弾いてから、いつもよくやるペルゴレシの Quando corpus morietur というのをやり始めた。
— 寺田寅彦 『小さな出来事』 青空文庫
その度ごとに本屋の書架から手頃らしいと思われる註釈本を物色しては買って来て読みかけるのであるが、第一本文が無闇に六かしい上にその註釈なるものが、どれも大抵は何となく黴臭い雰囲気の中を手捜りで連れて行かれるような感じのするものであった。
— 寺田寅彦 『変った話』 青空文庫
道端には處々に赤く立枯れになつた黍の畑が、暗い森を背景にして、さま/″\の手頃な小品を見せて居た。
— 寺田寅彦 『寫生紀行』 青空文庫
序番自分よく、中盤惡手から駒損となり玉再再ならず窮地に陷つて、梅原さん意氣大に上つてゐたが、自分屈せず腹を据ゑて長考幾度、やがて百二三十手頃の終番に近く、隙を見て奮然逆襲、敵の應酬の失を捉へて過に勝名乘を擧げてしまつた。
— 南部修太郎 『日曜日から日曜日まで』 青空文庫
手頃な丸太棒を差荷いに、漁夫の、半裸体の、がッしりした壮佼が二人、真中に一尾の大魚を釣るして来た。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
あの魚は、かさも、重さも、破れた釣鐘ほどあって、のう、手頃には参らぬ。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
手頃なのは大抵想像は付くけれども、かこみほとんど二尺、これだけの大きさだと、どのくらい重量があろうか。
— 泉鏡花 『燈明之巻』 青空文庫