春方
はるべ
名詞
標準
文例 · 用例
庭の芝の先に楓の低い生垣があって、その下は低く、ゆるい起伏ある耕地、森、町の方の煙突、そして三春方面の山並が日光にとけて見えて居ります。
— 一九四五年(昭和二十年) 『獄中への手紙』 青空文庫
宮薗千春方にて鳥辺山のけいこをなし、新橋巴家に八重次を訪ふ。
— 断膓亭日記巻之二大正七戊午年 『断腸亭日乗』 青空文庫
〔遠く琥珀のいろなして〕遠く琥珀のいろなして、 春べと見えしこの原は、枯草をひたして雪げ水、 さゞめきしげく奔るなり。
— 宮沢賢治 『文語詩稿 一百篇』 青空文庫
我が母は何も宣らさね、子の我も何もきこえね、かかる日のかかる春べにうつつなく遊ぶ子供を見てあれば涙しながる。
— 北原白秋 『雀の卵』 青空文庫
我が母は何も宣らさね、子の我も何もきこえね、かかる日のかかる春べに、うつつなく遊ぶ子供を見てあれば涙しながる。
— 北原白秋 『観相の秋』 青空文庫
まず、われ思うにだ、どうして死なねばならなくなったかは二の次として、なかなか二三春べっぴんゆかしいじゃねえか。
— 幽霊水 『右門捕物帖』 青空文庫
二三春べっぴんがあらましのことでも書き置きに残して死んだら、暑いさなかをこんな苦労せずにすんだんだ。
— 幽霊水 『右門捕物帖』 青空文庫
巻十九(四一九二)の霍公鳥|并藤花を詠じた長歌に、「夕月夜かそけき野べに、遙遙に鳴く霍公鳥」とあるのも亦家持の作、「雲雀あがる春べとさやになりぬれば都も見えず霞たなびく」(巻二十・四四三四)も亦家持の作で、この方は巻十九のよりも制作年代が遅い(天平勝宝七|歳三月三日)のは注意すべきである。
— 斎藤茂吉 『万葉秀歌』 青空文庫