玉成
ぎょくせい
名詞
標準
文例 · 用例
手古奈は容姿から音聲からはつきりとした、優しい内にも物事明晰な質で神經質なところが、能く母に似てゐる、手古奈はつまり玉成的に其母が進化したのだ。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫
彼はその酒を取りて、吉き事積りし後の凶の凶なる今夜の末期に酬ゆるの、可哀に余り、可悲きに過るを観じては、口にこそ言はざりけれど、玉成す涙は点々と散りて零れぬ。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
私が文学のためというよりは実は紅葉のために常に苦言を反覆したのは畢竟紅葉の才の凡ならざるを惜んで玉成したかったためであるが、これがために紅葉から含まれて心にもなく仲違いするようになった。
— ――尾崎紅葉―― 『硯友社の勃興と道程』 青空文庫
尤もこの悶々の場合にこれより以上に玉成する事はとても出来なかったろう。
— 内田魯庵 『二葉亭四迷の一生』 青空文庫
作者が一句を仕上げる上の多年の修練、その人の天才、ひらめき、つまりその句が玉成されているか、あるいは瓦礫に終っているかによって極まるのである。
— 高浜虚子 『俳句への道』 青空文庫