紫金
しきん
名詞
標準
文例 · 用例
言葉の合の手のように、その紫金銅とやらいう釜の胴を撥いてみせます。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
」 岩壁の縁が、縁から、はがれて、飛ぶ、飛ぶ、 白光、 赤光、 紫金光。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
さうして昼も夜も美しい童話の王子のやうに紅と紫金との夢の彼方ばかりを追ひ求めてゐた。
— 北原白秋 『「白秋詩集」序』 青空文庫
江南の空澄み渡り日章旗城頭高く夕陽に映え皇軍の威容紫金山を圧せり。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
むらがり立った緑樹の驟雨にうたれて雫する下に、黄色な僧服の隠見した島で、霽れ間に空に立のぼった夕茜のひとときの麗しさ、紫金色のむら雲舞い立つその凄じい見事さにあッと愕き仰ぐ幻に似た荘厳幽麗な天上の色、今も彼には忘れがたかった。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
赤い裾の踊子、あれ、まんまろく拡がれば時を択ばぬ花が咲き、黄金と、紫金と、銀の虹をば飜すあの上衣。
— 與謝野寛 『“MONICO”』 青空文庫
唐子童子 南京の紫金山というのは、私の泊っていた宿の窓のところからちょうど額縁にはまったように見られたが、夕方などになると大へん美しい山に見えるのであった。
— ――中支遊記―― 『余齢初旅』 青空文庫
紫金山という名はなるほどこの光景にふさわしいと思ったが、しかし朝になってみるとあれほど龍宮城かなにかのように美しかった金色の家々がまことにきたならしい家根であって一向おもしろくないものであった。
— ――中支遊記―― 『余齢初旅』 青空文庫