旧邸
きゅうてい
名詞
標準
文例 · 用例
御息所は六条の旧邸をよく修繕してあくまでも高雅なふうに暮らしていた。
— 澪標 『源氏物語』 青空文庫
九月になって旧邸の桃園の宮へお移りになったのを聞いて、そこには御|叔母の女五の宮が同居しておいでになったから、そのお見舞いに託して源氏は訪問して行った。
— 朝顔 『源氏物語』 青空文庫
源氏は静かな生活のできる家を、なるべく広くおもしろく作って、別れ別れにいる、たとえば嵯峨の山荘の人などもいっしょに住ませたいという希望を持って、六条の京極の辺に中宮の旧邸のあったあたり四町四面を地域にして新邸を造営させていた。
— 乙女 『源氏物語』 青空文庫
南西は中宮の旧邸のあった所であるから、そこは宮のお住居になるはずである。
— 乙女 『源氏物語』 青空文庫
福沢先生の旧邸宅を観る、昔ながらの土蔵は忘れ難い。
— 種田山頭火 『道中記』 青空文庫
・のぞいて芽柳のなつかしくも 妙蓮寺 お寺の大柳芽吹いてゆれて 春寒の鰒を並べて売りたがつてゐる 塩湯はよろしく春もしだいにととなふ景色 福沢先生旧邸 その土蔵はそのまゝに青木の実 三月十七日 日本晴、宇佐。
— 種田山頭火 『道中記』 青空文庫
巨万の財産を死蔵して、珍書画の蒐集に没頭していた故伯爵が四五年前に肺病で死ぬと間もなく未亡人は、旧邸宅の大部分を取毀して貸家を建てて、元銀行員の差配を置いた。
— 夢野久作 『けむりを吐かぬ煙突』 青空文庫
仏蘭西語を知つて居る船頭が其等の貴族の旧邸で今は美術品の製造所に成つて居る家家へ矢鱈に船を着けて記念の為に縦覧せよと勧める。
— 與謝野寛、與謝野晶子 『巴里より』 青空文庫