青褪める
あおざめる
動詞
標準
文例 · 用例
5 ここまでの事は、君もご存じの筈だが、さて、君とわかれて、ひとりで部屋へ引返した時には、僕の気持は興奮を通り越して、ほとんど蒼ざめるほどの恐怖の状態であった。
— 太宰治 『パンドラの匣』 青空文庫
(数枝)(顔を挙げ、蒼ざめる)(あさ) あたしは、馬鹿で、だまされました。
— ―――三幕 『冬の花火』 青空文庫
長い間のあらくれた放浪生活のなかで、私の夢は母を慕ふて蒼ざめる夜が多かつた。
— 牧野信一 『剥製』 青空文庫
飲めば飲むほど蒼ざめる彼の顔には表情の取り立てた変化はなかった。
— 本庄陸男 『石狩川』 青空文庫
ああ、ある日などは、彼がそばにいるゆえに、彼女は色|蒼ざめる心地がし両手が震えた。
— JEAN-CHRISTOPHE 『ジャン・クリストフ』 青空文庫
かれも黙って歩きながら、次第に心持まで蒼ざめるような或る予覚のために震えをからだの凡てに感じ出したのである。
— 室生犀星 『幻影の都市』 青空文庫
彼の顔がやや蒼ざめるのを、七十郎は認めたが、臆したようすは少しも感じられなかった。
— 第四部 『樅ノ木は残った』 青空文庫
と、三時頃には日は既に、中ノ宿の尾根から聖の背後に隠れて、所ノ沢は再び冷たい陰の世界に帰り、空は縹が淡く透きとおって、底からだんだんと黄味を潮し、赤石はわずかに峯角に際立った残照をとどめて、しらじらと蒼ざめる。
— 中村清太郎 『ある偃松の独白』 青空文庫