無我の境
むがのきょう
名詞
標準
state of complete self-effacement
文例 · 用例
ちなみに太郎の仙術の奥義は、懐手して柱か塀によりかかりぼんやり立ったままで、面白くない、面白くない、面白くない、面白くない、面白くないという呪文を何十ぺん何百ぺんとなくくりかえしくりかえし低音でとなえ、ついに無我の境地にはいりこむことにあったという。
— 太宰治 『ロマネスク』 青空文庫
人は顔容に於て、思想に於て、性格に於て各々異なれども、一度其霊性の天地に入るや、俄然として茲に無我の境に達す。
— 石川啄木 『閑天地』 青空文庫
それは二人の勝負師が無我の境地のままに血みどろになっている瞬間であった。
— 織田作之助 『勝負師』 青空文庫
しかしそのような場合にでも、その仕事の中に自分の天与の嗜好に逢着して、いつのまにかそれが仕事であるという事を忘れ、無我の境に入りうる機会も少なくないようである。
— 寺田寅彦 『科学者と芸術家』 青空文庫
――お千は絶対無我の境地にあるような姿勢をしていた。
— 海野十三 『棺桶の花嫁』 青空文庫
これを行ふには、靈媒を無我の境に陷し入れるもう一人の術者が要るのが普通である。
— 海野十三 『心靈研究會の怪』 青空文庫
しかしその靈媒が修行を積んだ人ならば、自分で無我の境に入つて行くから、術者は要らない。
— 海野十三 『心靈研究會の怪』 青空文庫
靈媒が無我の境に入ると呻り聲を發する。
— 海野十三 『心靈研究會の怪』 青空文庫
作例 · 標準
弓道の的を見つめているうちに、周囲の音が消え、自分とが一体となった無我の境に浸った。
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作家は締め切り直前、寝る間も惜しんで執筆に没頭し、まさに無我の境で筆を走らせていた。
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プロの演奏家がステージで披露する圧巻のパフォーマンスは、一種の無我の境地から生まれる。
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