防ぎ矢
ふせぎや
名詞
標準
文例 · 用例
と見てとられた大塔宮は、むしろ厳かに微笑あそばされ、「矢種のあらん限りは防ぎ矢を射、心しずかに自害して、名を万代に残そうぞ。
— 国枝史郎 『あさひの鎧』 青空文庫
……汝参って防ぎ矢|仕れ!
— 国枝史郎 『あさひの鎧』 青空文庫
「討手の方々よく聞き候え、我ら木曽家に怨みはなけれど、我らを養う甚五衛門殿の危急の場合と見て取ったれば、日頃の恩に報ずるため防ぎ矢少々差し上げ申す。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
――――――――――――――――― 相手の用意に裏をかかれた盗人の群れは、裏門を襲った一隊も、防ぎ矢に射しらまされたのを始めとして、中門を打って出た侍たちに、やはり手痛い逆撃ちをくらわせられた。
— 芥川龍之介 『偸盗』 青空文庫
攻め矢、防ぎ矢、双方から射る矢うなりの一瞬がやむと、ばらばらと石などが投げこまれ、続いて門扉を打ち壊す音やら、土塀をこえて躍り入る兵の影やら、邸のうちはたちまち死闘の渦に巻きこまれた。
— 吉川英治 『源頼朝』 青空文庫
「――一筋の防ぎ矢だに来ない」「彼方の岸辺にも、敵の影が見えぬのは何故か」「張合いもない事だ」 しかし、それだからとて、他の戦友におくれていいとは誰も思っていないらしい。
— 吉川英治 『源頼朝』 青空文庫
この兼平一騎お伴をいたせば、他の武士千騎と思召し下さい、ここに射残したる矢七、八本まだ持っておりますから、しばらく防ぎ矢仕りましょう。
— 第九巻 『現代語訳 平家物語』 青空文庫
仲時は大事をとって、「六角勢は後陣となって、尾きまとう野伏ばらに、防ぎ矢しつつおあとからまいられい。
— 新田帖 『私本太平記』 青空文庫