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黒柿

くろがき
名詞
1
標準
文例 · 用例
庸三は床の黒柿の框を枕にしてしばらく頭を休めていたが、するうち葉子と瑠美子との次ぎの間の話し声を夢幻に聞きながらうとうと眠ってしまった。
徳田秋声 仮装人物 青空文庫
糸柾の檜の柱や、欄間の彫刻や、極彩色の模様画のある大きな杉戸や、黒柿の床框などの出来ばえを、上さんは自慢そうに、お島に話して聞せた。
徳田秋声 あらくれ 青空文庫
黒柿の縁と台の付いた長方形の鏡の前に横竪縞の厚い座蒲団を据えて、その傍に桐で拵らえた小型の長火鉢が、普通の家庭に見る茶の間の体裁を、小規模ながら髣髴せしめた。
夏目漱石 明暗 青空文庫
長火鉢と云うと欅の如輪木か、銅の総落しで、洗髪の姉御が立膝で、長煙管を黒柿の縁へ叩きつける様を想見する諸君もないとも限らないが、わが苦沙弥先生の長火鉢に至っては決して、そんな意気なものではない、何で造ったものか素人には見当のつかんくらい古雅なものである。
夏目漱石 吾輩は猫である 青空文庫
黒柿の長火鉢の彼方に、二寸も厚い座蒲團に坐つた奧樣の年は二十五六、口が少しへの字になつて鼻先が下に曲つてるけれども、お定には唯立派な奧樣に見えた。
石川啄木 天鵞絨 青空文庫
黒柿の長火鉢の彼方に、二寸も厚い座蒲団に坐つた奥様の年は二十五六、口が少しへの字になつて鼻先が下に曲つてるけれども、お定には唯立派な奥様に見えた。
石川啄木 天鵞絨 青空文庫
紅カリンの床板、黒柿の落し掛。
夢野久作 名娼満月 青空文庫
ホントウにこの家の案内を知っているらしく、突当りの薬戸棚の硝子戸を開いて、旧式の黒柿製の秘薬|筥を取出して調薬棚の上に置いた。
夢野久作 笑う唖女 青空文庫