某県
ぼうけん
名詞
標準
文例 · 用例
二 製陶実演 三越へ行ったら某県物産展覧会というのが開催中であって、そこでなんとか焼きの陶器を作る過程の実演を観覧に供していた。
— 寺田寅彦 『空想日録』 青空文庫
戸籍を並べても仕方がないから、唯某県の某市として置く。
— 二葉亭四迷 『平凡』 青空文庫
防諜のこともあるので、その地下戦車第一号は、厳重なおおいをかけられ、夜行列車に積まれ、東京から程近い某県下の或る試験場へ届けられた。
— 海野十三 『未来の地下戦車長』 青空文庫
試作が出来上った岡部式の地下戦車第二号は、前回と同じく、某県下の演習場へ引出された。
— 海野十三 『未来の地下戦車長』 青空文庫
清末某省某州附近の十余県には幇匪の出没最も劇しく中にも某県の十八段という地方四五里四方は全く匪の棲家となり、一万以上の匪がここを根城として地方へ出稼したもので、子供も女もすべて幇匪となってしまった。
— 国枝史郎 『さまよう町のさまよう家のさまよう人々』 青空文庫
翌年二月、伊地知正治氏東京より書を送り、北陸道某県、東山道某県、両地何れかの大参事に推挙すべき由を言ふ。
— 與謝野禮嚴 『禮嚴法師歌集』 青空文庫
ある青年の道徳品行を観察する人はかつてわが輩に向い、「某県より来る学生は、上京当時はすこぶる硬い、なんとなれば某県にある時はいわゆるスパルタ式教育法を受け、猛獣的に強くなっているからである。
— 新渡戸稲造 『自警録』 青空文庫
そも武男とお豊の間は、その昔父が某県を知れりし時、お豊の父山木もその管下にありて常に出入したれば、子供もおりおり互いに顔合わせしが、まだ十一二の武男は常にお豊を打ちたたき泣かしては笑いしを、お豊は泣きつつなお武男にまつわりつ。
— 徳冨蘆花 『不如帰 小説』 青空文庫