桑樹
そうじゅ
名詞
標準
文例 · 用例
其壁を越して、桑樹の老木が繁り、壁の折り曲つた角には幾百年經つか、鬱として日影を遮つて居る樫樹が盤居つて居ます。
— 国木田独歩 『日の出』 青空文庫
是等の事、父の性癖として必ず自ら実験するを常とせしかば、わが願成寺の宅地二町歩を開いて桑樹と茶とを栽培し、母と共に傭役の男女を督して養蚕製茶の事に従へり。
— 與謝野禮嚴 『禮嚴法師歌集』 青空文庫
然り、桑樹に対して太息する玄徳、青山を望ンで黙測する孔明、玉璽を擁して疾呼する孫堅、蒼天を仰いで苦笑する孟徳、蛇矛を按じて踊躍する翼徳、彼等の時代は漸に来りし也。
— 芥川龍之介 『木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)』 青空文庫
シカモア Sycamore を『聖書』には桑樹と訳してあるが、葉だけは日本の桑に似ているけれども桑ではない。
— 野上豊一郎 『処女の木とアブ・サルガ』 青空文庫
支那人は製紙法をマホメット教國に傳へたが、薩末※附近には第一の原料ともいふべき桑樹が缺乏して居るから、必要上次第に敝布の分量を増加し、それでも製紙の目的を達し得ることを經驗すると、最後には敝布――マホメット教國に豐富なるリンネン襤褸――のみで紙を製造することとなつた。
— 桑原隲藏 『紙の歴史』 青空文庫
一反五|畝の内、宅地、杉林、櫟林を除いて正味一反余の耕地には、大麦小麦が一ぱいで、空地と云っては畑の中程に瘠せこけた桑樹と枯れ茅枯れ草の生えたわずか一畝に足らぬ位のものであった。
— 徳冨健次郎 『みみずのたはこと』 青空文庫
石渠は千年にして花咲き、孤桑樹は万年にして実る。
— 高木敏雄 『比較神話学』 青空文庫
私の眼の前の、路の空間をゆるゆると横断して、右側の畑の上に移り、柄で桑樹を撫でる如くに進んで行くのである。
— 佐藤垢石 『しゃもじ(杓子)』 青空文庫