憔忰
憔忰
名詞
標準
文例 · 用例
その後、時々P教室の自分の部屋をたずねて来て、当時自分の研究していた地磁気の急激な変化と、B教授の研究していた大気上層における荷電粒子の運動との関係についていろいろ話し合ったのであったが、何度も会っているうちに、B教授のどことなくひどく憂鬱な憔忰した様子がいっそうはっきり目につきだした。
— 寺田寅彦 『B教授の死』 青空文庫
ローソクの光の中に浮びあがって来た彼の姿は憔忰し切っている。
— 三好十郎 『その人を知らず』 青空文庫
数日、陽の目を見ず、ここに坐ったきりなので、色はよけいに白く見え、心もち憔忰して、日頃の美貌が、よけい凄愴に冴えて見えた。
— 吉川英治 『夏虫行燈』 青空文庫
遂に、強って御威光を以て、お目通りしましたところ、灸などすえておられ、御顔色も憔忰の態に見うけられましたが、一日食わず、一夜眠らず、灸などすえれば、病態は作られまする。
— 静御前 『日本名婦伝』 青空文庫
帰ることは知っていたとみえて、松尾はそれほど驚かなかったが、玄一郎のほうで、妻があまり憔忰しているのにびっくりした。
— 山本周五郎 『いさましい話』 青空文庫