舌縺れ
したもつれ
名詞
標準
文例 · 用例
「ぼくはね、きみが仲間に入りたいという話を聞いて、びっくりしてしまったよ」彼はしゅっしゅっと舌縺れのするような調子で、いやに言葉尻を引きながら、こういいだした。
— ЗАПИСКИ ИЗ ПОДПОЛЬЯ 『地下生活者の手記』 青空文庫
舌もつれようともつれまいと花に嘘などつけはしないんだ。
— 中原中也 『(辛いこつた辛いこつた!)』 青空文庫
あの本には、なんでも皆、書かれて在るんだけれど、いまは泣きたくなって、舌もつれ、胴ふるえて、悲鳴に似たかん高い声を挙げ、「要するに。
— 太宰治 『愛と美について』 青空文庫
」言葉の奇妙「舌もつれる。
— ――当りまえのことを当りまえに語る。 『もの思う葦』 青空文庫
「エピソードに誇張が加えられなかったことがあるでしょうか――ほとんど嘘に近いほど……」「お言葉ですが――御免下さい」 袋を二つかさねたようなだぶだぶの顎をふるわして、パーヴェル・パヴロヴィッチが舌もつれのした云いかたでエレーナに答えた。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
その頃は母は舌もつれしながらも漸く片言が利けだし、まづ危機を脱した形だつた。
— 神西清 『母たち』 青空文庫
捧げた膳を私の前に据えると、舌もつれする風に――ご、ゆる、りと……などと言いながら、熟れたれいしに似た鼻から、垂れさがる鼻汁を、危なくすすり上げて、愛想笑い。
— 中村清太郎 『ある偃松の独白』 青空文庫