駆出
くしゅつ
名詞
標準
文例 · 用例
それを見かけた田代はコーヒーの勘定などはあとでいいからすぐ駆出せばよいのにその勘定でまごまごしてなかなか追っかけない。
— 寺田寅彦 『初冬の日記から』 青空文庫
こうしないといけない理由は、やっと勘定をすませて慌てて駆出したために自動車にひかれるという尤もらしいことにしたいためである。
— 寺田寅彦 『初冬の日記から』 青空文庫
同じ食卓にいた人々は大抵最初の最大主要動で吾勝ちに立上がって出口の方へ駆出して行ったが、自分等の筋向いにいた中年の夫婦はその時はまだ立たなかった。
— 寺田寅彦 『震災日記より』 青空文庫
……そうかと思うと、今になって一目散に駆出すのがある。
— 泉鏡花 『妖術』 青空文庫
風にもめげずに皆駆出すが、ああいう児だから、一人で、それでも遊戯さな……石盤へこう姉様の顔を描いていると、硝子戸越に……夢にも忘れない……その美しい顔を見せて、外へ出るよう目で教える……一度逢ったばかりだけれども、小児は一目顔を見ると、もうその心が通じたそうよ。
— 泉鏡花 『朱日記』 青空文庫
)か、何か、哄と吶喊を上げて、小児が皆それを追懸けて、一団に黒くなって駆出すと、その反対の方へ、誰にも見着けられないで、澄まして、すっと行ったと云うが、どうだ、これも変だろう。
— 泉鏡花 『朱日記』 青空文庫
すたすたとけたたましい出入りの跫音、四ツ五ツ入乱れて、駆出す……馳込むといったように、しかも、なすりつけたように、滅入って、寮の門が慌しい。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
(照吉さんの様子を見に、お才はんが駆出して行きなすった、門を開放したまんまでさ。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫