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訥々

とつとつ
形容詞-たる副詞-と
1
標準
halting (speech)
文例 · 用例
その時、和田左衛門尉さまは、はつと平伏なさいましたきりで、額の皺に汗をにじませ、しばらくは何も言上できぬ御様子でございましたが、やがて、例の訥々たる御口調で、甚だ唐突に、故右大将家御挙兵以来の義盛さま御自身の十数度にわたる軍功を一つ一つならべ立てたのでございます。
太宰治 右大臣実朝 青空文庫
身長五フィート七インチ、体格よし、顔色悪し、黒髪、頭頂に小禿あり、たわわな黒い頬髯口髭、色眼鏡、話し方はやや訥々、失踪時の服装は黒のフロックコート、黒のベスト、金のアルバート鎖、下はハリスツイードの鼠色、ゴム布の長靴に茶褐色のゲートルを重ねる。
A CASE OF IDENTITY 同一事件 青空文庫
三田君は、戸石君と二人きりになると、訥々たる口調で、戸石君の精神の弛緩を指摘し、も少し真剣にやろうじゃないか、と攻めるのだそうで、剣道三段の戸石君も大いに閉口して、私にその事を訴えた。
太宰治 散華 青空文庫
・詩人は吃がよい、訥々としてうたふのがよい。
種田山頭火 其中日記 青空文庫
一首の中に、三つも「らむ」を使って居りながら、訥々としていて流動の響に乏しい。
斎藤茂吉 万葉秀歌 青空文庫
この歌を味うと、内容に質実的なところがあるが、声調が訥々としていて、沁み透るものが尠いので、つまりは常識の発達したぐらいな感情として伝わって来る。
斎藤茂吉 万葉秀歌 青空文庫
私の訥々たる説明をきき終ると、彼は非常に情けなそうな顔になった。
坂口安吾 日月様 青空文庫
彼がモォリアックの近作『黒天使のむれ』の読後感を、例の訥々とした口調で熱心に話して聞かせてくれたのも、この最後の時期より以前ではなかつたはずだ。
神西清 きれぎれの追憶 青空文庫
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