特権的
とっけんてき
名詞
標準
文例 · 用例
この主張は表面では過去の文学と文化の特権的性格を批判したものであったけれども、本質では文化・文学の理性、批判性、自立性を彼等のいわゆる素朴なる大衆の低度に解消してしまう方法でした。
— ――新日本文学会第四回大会最終日に―― 『討論に即しての感想』 青空文庫
が、男とのいきさつの痴情的な結末は、いわゆる士族という特権的な身分を自負する女性も酌婦に転落しなければならない社会であり、しかもその中で自分の運命を積極的に展開する能力をもたなくて、僅に勝気なお力であるに止り、遂に人の刃に命を落す物語が書かれている。
— 宮本百合子 『私たちの建設』 青空文庫
人民の眼からかくされている上層部の裏面的な政治勢力は、内閣および議会をかいらいとして表面上は財閥解体令を受け入れながら緊急金融措置令によって新円切換えを行い、さらに半年のうちに第二回の金融措置(一般に預金封鎖とよばれた)を行って特権的階級に手厚い保護を与えた。
— 宮本百合子 『今日の日本の文化問題』 青空文庫
それは百五十万乃至三百万人の有産階級のみが特権的に壟断する政治であって、国民全体の政治とは如何にしてもいわれないのです。
— 与謝野晶子 『婦人も参政権を要求す』 青空文庫
そして主として貴族の特権的懸賞物だったが、この遣り方は、牛よりも人にとって危険率が多い――たしか十六世紀のはじめだったと思う。
— 血と砂の接吻 『踊る地平線』 青空文庫
学生は学生である限り立派に特権的に食っているにも拘らず、学生は一種の可能的な失業者と見做されることになり、云わば一種の余計者で邪魔者だとさえ考えられて来る。
— 戸坂潤 『思想と風俗』 青空文庫
尤もファッショ軍国意識は今は必ずしも珍しくない世界的現象の一つだが、日本主義では之が更に、日本の特殊な〔特権的〕職業団である〔軍部〕の存在と夫の意識とによって限定された云わば〔侵略〕的〔軍国〕意識となって現われている。
— ――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判 『日本イデオロギー論』 青空文庫
処で一方、知識も知能も、対立を越えた普遍的な通用性と普遍性を承認され得る価値とをもっているものだから、今のこの特権はそれ自身、一つの超越的な従って特権的な社会階級を意味するように、おのずからなり勝ちなのである。
— ――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判 『日本イデオロギー論』 青空文庫