此土
しど
名詞
標準
文例 · 用例
予は財なきが故に、時々云うに云われない苦悶をせねばならぬ、厭うべき此土地に囚れて居ねばならないのである。
— 伊藤左千夫 『大雨の前日』 青空文庫
小島烏水といふ人の日本山水論にも、「山の拗ね者は多く、此土に仙遊するが如し。
— 太宰治 『富嶽百景』 青空文庫
ボズさんの本名は權十とか五|郎兵衞とかいふのだらうけれど、此土地の者は唯だボズさんと呼び、本人も平氣で返事をして居た。
— 国木田独歩 『都の友へ、B生より』 青空文庫
菩提の善友、浄土の同行、契を此土に結ばんには今こそ言葉をかくべけれと、思ひ入て擦る数珠の音の声すみておぼえずたまる我涙かな、と歌の調は好かれ悪かれ、西行|急に読みかくれば、彼方は初めて人あるを知り、思ひがけぬに驚きしが、何と仰られしぞ、今一度と、心を圧鎮めて問ひ返す。
— 幸田露伴 『二日物語』 青空文庫
われは足の此土を離れんとするに臨みて、いよ/\新なる世界の我が爲めに開くべきを感ぜり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
私の此土に在りての最終の祈祷、彼土に往きての最初の祈祷は、君が御上と、私の徒らに願ひてえ果さず、その人の幸ありて成し遂げ給ふなる、君が偕老の契の上とに在るのみなることを、御承知下され度存。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
こんな卑劣な根性は封建時代から、養成した此土地の習慣なんだから、いくら云つて聞かしたつて、教へてやつたつて、到底直りつこない。
— 夏目金之助 『坊っちやん』 青空文庫
妹の順礼 ほほ、此土地に棲んで居やるのに、名も知らぬとは賢い子等やの。
— 木下杢太郎 『南蛮寺門前』 青空文庫