幻辞.com

踉々

踉々
名詞
1
標準
文例 · 用例
彼女の、コムパスは酔眼朦朧たるものであり、彼女の足は蹌々踉々として、天下の大道を横行闊歩したのだ。
葉山嘉樹 労働者の居ない船 青空文庫
四十一「あっちへ蹌々、こっちへ踉々、狐の憑いたように、俺の近所を、葛西街道にして、肥料桶の臭をさせるのはどこの奴だ。
泉鏡花 婦系図 青空文庫
小児三 ああ、大なものを背負って、蹌踉々々来るねえ。
泉鏡花 紅玉 青空文庫
びしゃびしゃ……水だらけの湿っぽい井戸端を、草履か、跣足か、沈んで踏んで、陰気に手水鉢の柱に縋って、そこで息を吐く、肩を一つ揺ったが、敷石の上へ、蹌踉々々。
泉鏡花 菎蒻本 青空文庫
色が真蒼で、目も血走り、伸びた髪が額に被つて、冠物なしに、埃塗れの薄汚れた、処々釦の断れた背広を被て、靴足袋もない素跣足で、歩行くのに蹌踉々々する。
泉鏡太郎 神鑿 青空文庫
息とともに身を退いて、蹌踉々々と、雨戸にぴッたり、風に吹きつけられたようになって面を背けた。
泉鏡花 悪獣篇 青空文庫
」 二度まで、同じ人の名を、ここには居ない人の名を、胸を貫いて呼んだと思うと、支えた腕が溶けるように、島田髷を頂せて、がっくりと落ちて欄干に突伏したが、たちまち反り返るように、衝と立つや、蹌踉々々として障子に当って、乱れた袖を雪なす肱で、しっかりと胸にしめつつ、屹と瞰下ろす目に凄味が見えた。
泉鏡花 日本橋 青空文庫
目前へカラカラと打つかりそうなのに、あとじさりに圧され、圧され、煽られ気味に蹌踉々々となった途端である。
泉鏡花 日本橋 青空文庫