裳抜け
もぬけ
名詞
標準
文例 · 用例
魂がモヌケのカラというわけですな。
— 坂口安吾 『現代忍術伝』 青空文庫
ところが、芳男の部屋にはフトンがしいてあって、ねたあとがあり、何か荷造りをしかけたものが置き残してあるが、部屋の主はモヌケのカラで、外泊の様子。
— その二 密室大犯罪 『明治開化 安吾捕物』 青空文庫
すると中がモヌケのカラですから、さてはとお思いになりましてな。
— その二 密室大犯罪 『明治開化 安吾捕物』 青空文庫
しばらく根室へ行って、加柴さんも生活者のなかで生きてくるといい」 アビルは俺を得心させると、それで力がつきたみたいに、言いかえると俺に希望を与えることで彼自身は何かモヌケのカラにでもなったみたいに、ぐたりと肩を落して、「あたしもこんなあたしから、そろそろ逃げ出そうと思っている。
— 高見順 『いやな感じ』 青空文庫
正の肌身はそこで藻抜けて、ここに空蝉の立つようなお澄は、呼吸も黒くなる、相撲取ほど肥った紳士の、臘虎襟の大外套の厚い煙に包まれた。
— 泉鏡花 『鷭狩』 青空文庫
――これは外套の頭巾ばかりを木菟に被って、藻抜けたか、辷落ちたか、その魂魄のようなものを、片手にふらふらと提げている。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
が、硯も机も埃だらけ、炉とは名のみの、炬燵の藻抜け、吸殻ばかりで、火の気もない。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
藻抜けのやうに立つて居た、私が魂は身に戻つた、其方を拝むと斉しく、杖をかい込み、小笠を傾け、踵を返すと慌しく、一|散に駆け下りたが、里に着いた時分は山は驟雨、親仁が婦人に齎らした鯉もこのために活きて孤家に着いたらうと思ふ大雨であつた。
— 泉鏡太郎 『高野聖』 青空文庫