霊境
れいきょう
名詞
標準
文例 · 用例
東口を上ると、薄く手水鉢に明りのさしたのは、斜に光を放った舞台正面にただ一つ掲げた電燈で、樹にも土にも、霊境を照らす光明はこの一燈ばかりなのが、かえって仏燭の霊を表して、竜燈……といっては少し冥い。
— 泉鏡花 『白花の朝顔』 青空文庫
『松屋筆記』五に浅草観音に鶏を納むるに日を経れば雌鶏必ず雄に変ず、仏力にてかくのごとしとあるが、霊境で交合したり雛を生み、ピーピー走り廻られては迷惑故、坊主が私かに取り替えたであろう。
— 鶏に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
わが遊魂いかでか飄乎としてそゝり出で、以て霊境の美神と相通化せざるを得んや。
— 北村透谷 『松島に於て芭蕉翁を読む』 青空文庫
吾を語らいしその者とは木曽の霊境に砦を構え、四方の勇士を集め召す、御嶽冠者行氏なるわ!
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
何でも自分の本来の霊境にいたるまで自分になりきることだと思います。
— 倉田百三 『青春の息の痕』 青空文庫
自分はいつまでも、いつまでも、暮行くこの深川の夕日を浴び、迷信の霊境なる本堂の石垣の下に佇んで、歌沢の端唄を聴いていたいと思った。
— 永井荷風 『深川の唄』 青空文庫
慈覚大師の『入唐求法順礼記』に「到大暦霊境寺。
— 齋藤茂吉 『ドナウ源流行』 青空文庫
たゞ刹那的文藝ばかりが、いつも活き/\として、自由にこの靈境に出入することが出來るのである。
— 岩野泡鳴 『神秘的半獸主義』 青空文庫