絵額
えがく
名詞
標準
文例 · 用例
ただ、それに連れて眼の前に惨酷たらしい『狂人|焚殺』の絵額や、ニコニコしている斎藤博士の肖像や、蒼白い、真面目な若林博士や、緑色に光る大|卓子や、その上に欠伸をし続けている赤い達磨の灰落しまでもが、一つ一つに私の過去と、深い関係を持っているものであるかのように思われて来た。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
西洋画写生の法を浮世絵の人物に施してよく成功せる点はむしろ北斎の上に出づといふも過賞にあらず(浅草観音堂内奉納の絵額に一ツ家の姥の図あり)。
— 永井荷風 『江戸芸術論』 青空文庫
歌仙は三十五通りの男女僧俗の、絵額の排列を聯想せしめ、今でも我々は便宜上、この毎二句の続けがらを絵様(タブロオ)と呼ぶことにしている。
— 柳田国男 『木綿以前の事』 青空文庫
同時に廣々とした堂内をも稍狹苦しく覺えさせる大提灯や、釣燈籠や、太い柱や、其の蔭に置いた廚子や偶像や、又は高くかゝげた奉納の繪額や、夥しい欄間の彫刻や、見※す四邊一帶の剥げて、褪めて、古びた色彩の薄暗さが、云ふに云はれず柔かに人の心を沈靜させる。
— 永井壯吉 『歡樂』 青空文庫
人々の呟く祈祷の聲が繪額の陰に鳴く鳩の聲に交る。
— 永井壯吉 『歡樂』 青空文庫