忽諸
こっしょ
名詞
標準
文例 · 用例
「その盃は清めてございませんよ」 一々底意ありて忽諸にすべからざる女の言を、彼はいと可煩くて持余せるなり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
それで忽諸すると飛んで火に入る夏の虫となるのだから、まあ君が行つて何とか話をして見たまへ。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
少しの間でも、二人は寄り添つて、忽諸してゆく運命に耐へてゆきたかつた。
— 林芙美子 『あひびき』 青空文庫
自分の目的とするところは、出来るだけ内容を完全にあらはしたいと思ふので、一字一句も忽諸にせないつもりであるから、時としては音脚を分解し、音質を検する如きこともあつて、自然一首の歌の数十倍の言語を費すこともあるであらうが、真に歌を知らうとする人を目的とするのであるから、そのつもりで居てほしい。
— 折口信夫 『古歌新釈』 青空文庫
お前さんのは其処にお葉漬かありますよ、これは儂が儂のお銭で買つたのですと天丼を抱へ込み候如きは敢て社会|下流の事のみとも限られぬ形勢に候内職と人心、是亦忽諸に附す可からざる一問題と存候。
— 斎藤緑雨 『もゝはがき』 青空文庫
ゆえにその学の講究、あに忽諸に付すべけんや。
— 緒言 『妖怪学講義』 青空文庫
しかして年来朝威を忽諸し、旧主を蔑如す、大逆無道なり」といっており、『吾妻鏡』にも、頼朝勅許を得ずして泰衡を討伐する時の口実の一に、「泰衡は累代の御家人の遺跡を受け継げる者なり」とあるによれば、もとは源氏の家人の家柄であったものに相違ない。
— 喜田貞吉 『奥州における御館藤原氏』 青空文庫
紀州の人々は、この珍羊歯が始めて自国で発見せられまた自国品に基いて命名せられたものであって見れば、上のコケシダ等の和名を忽諸に附してはならずかつこれを擁護せねばならない。
— 牧野富太郎 『植物記』 青空文庫