潸々
さんさん
形容動詞
標準
文例 · 用例
お孝の彼を抉った手は、ここにただ天地一つ、白き蛇のごとく美しく、葛木の腕に絡って、潸々と泣く。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
私は、その後手に縛られた両手を見ました時、腸を切り苛むような憤と共に、涙が、――腹の底から湧き出すような涙が、潸々として流れ出ました。
— 菊池寛 『ある抗議書』 青空文庫
私は、母の愚かな期待を思い出すごとに、彼女の無智を憫む潸々たる涙を抑えることは出来ません。
— 菊池寛 『ある抗議書』 青空文庫
其中には村端の堀立小屋の娘もあつて、潸々泣いてゐたが、私は、若しや先生は私にだけ證書を後で呉れるのではないかといふ樣な、理由もない事を心待ちに待つてゐた樣であつた。
— 石川啄木 『二筋の血』 青空文庫
唯一度私が小さい桶を擔いで、新家の裏の井戸に水汲に行くと、恰度其處の裏門の柱に藤野さんが倚懸つてゐて、一人|潸々と泣いてゐた。
— 石川啄木 『二筋の血』 青空文庫
其中には村端の掘立小屋の娘もあつて、潸々泣いてゐたが、私は、若しや先生は私にだけ証書を後で呉れるのではないかといふ様な、理由もない事を心待ちに待つてゐた様であつた。
— 石川啄木 『二筋の血』 青空文庫
唯一度私が小さい桶を担いで、新家の裏の井戸に水汲に行くと、恰度其処の裏門の柱に藤野さんが倚懸つてゐて、一人|潸々泣いてゐた。
— 石川啄木 『二筋の血』 青空文庫
倉一杯に溢れる醇々たる酒の靄は、享ければあわや潸々として滴らんばかりの味覚に充ち澱んでいた。
— 牧野信一 『鬼涙村』 青空文庫