鼻髭
はなひげ
名詞
標準
文例 · 用例
今も思い出すことが出来るが、彼は小さな口の上に黒い鼻髭のある三十男で、目をしょっちゅうしばたたいていた。
— 金史良 『玄海灘密航』 青空文庫
私は余りの心寂しさに、彼を親でも送るような気持で、遠くから手を振って見送ったが、この小さな鼻髭を持ったおじさんは今どこで何をしているのだろう。
— 金史良 『玄海灘密航』 青空文庫
こんどは、赭っぽい鼻髭をつけ、藪のような眉をした丸顔のルイバコフそのひとが帰って来ていた。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
そんな話を、ルイバコフ夫婦、伸子、素子の四人がこれから借りようとし、貸そうとしている室で話しあったのだったが、赭っぽい鼻髭のルイバコフは人はわるくないがいくらか慾ふかそうな顔つきで、その室の入口の左手に置いてある衣裳箪笥にもたれて立って話している。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
」 支配人は黒いフロックコートの腕をあげて鼻髭を撫でながら伸子のいうことをきいていたが、まるで出し惜しみするように、ドイツ訛のきつい英語で、「行進は劇場広場に集ると、けさの新聞にはありました」と答えた。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
テーブルに向っている半白の髭のひとは、こげ茶色の服を着て鼻髭のある隣席のひとと、伸子にはそれが伸子を無視したことを示すものだと感じとれる態度で私語しはじめた。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
黒いさっぱりした鼻髭をもっているRIJOの主人は、あんまり金のなさそうな、そして、大したひきもなさそうなパリの外国人は、とくに彼らが女づれの場合、羽根ののびきらない雛のようなもので、一度そこに満足すればあんまり遠くとびまわらないということを知りぬいているらしかった。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
その時彼は初めて短く鼻髭を伸してあるのに気附いた。
— 豊島与志雄 『恩人』 青空文庫