憇
憇
名詞
標準
文例 · 用例
ひとに憇ひを與へ、光明を投げてやるやうな作品を書くのに才能だけではいけないやうです。
— 太宰治 『猿面冠者』 青空文庫
赤い車海老はパセリの葉の蔭に憇ひ、ゆで卵を半分に切つた斷面には、青い寒天の「壽」といふ文字がハイカラにくづされて畫かれてゐた。
— 太宰治 『逆行』 青空文庫
他人の家に、憇ひの巣を期待するのが、そもそも馬鹿者の證據なのかも知れないが、とかくこの訪問といふ事に於いては、吾人は驚くべき思ひ違ひをしてゐるものである。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
こうやって自分を真昼の寂しさに憇わしている、そのことさえも意識していない。
— 岡本かの子 『老妓抄』 青空文庫
頓て、此集會も終ると、十|時間近で、いよ/\弦月丸へ乘船の時刻とはなつたので、濱島の一家族と、私とは同じ馬車で、多の人に見送られながら波止塲に來り、其邊の或茶亭に休憇した、此處で彼等の間には、それ/\袂別の言もあらうと思つたので、私は氣轉よく一人離れて波打際へと歩み出した。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
彼は晝は寸暇をも惜んで勞働をするので一つには其れが夜なべの仕事を勵み得ない程の疲勞を覺えしめて居るのでもあるが、少し懷が窮屈でなくなつてからは長い夜の休憇時間には滅多に繩を綯ふこともなく風呂に行つては能く噺をしながら出殼の茶を啜つた。
— 長塚節 『土』 青空文庫
日を避けて憇へば、流汗一時に來りて堪ふ可からず。
— 長塚節 『草津行』 青空文庫
其に一茶店を得て憇ふ。
— 長塚節 『草津行』 青空文庫