ぶつかり
ぶつかり
名詞
標準
文例 · 用例
而して手術衣を脱がうとするとその衣嚢の中でかちつと堅いものにぶつかり合ふ音を聞いた。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
これは、渡り鳥が海のうえで深い霧などに襲われたとき方向を見失い光りを慕ってただまっしぐらに飛んだ罰で燈台へぶつかりばたばたと死んだところなのですよ。
— 太宰治 『彼は昔の彼ならず』 青空文庫
三十度以上の急な斜坑を、落ちた岩は、左右にぶつかりながら、下へころころころげて行った。
— 黒島傳治 『土鼠と落盤』 青空文庫
彼は、差し出したカンテラが、彼女にぶつかりそうになって、始めてそれに気がついた。
— 黒島傳治 『土鼠と落盤』 青空文庫
「遂に僕は心を静めて今夜十分眠る方が可い、全く自分の迷だと決心して丸山を下りかけました、すると更に僕を惑乱さする出来事にぶつかりました。
— 国木田独歩 『牛肉と馬鈴薯』 青空文庫
河の流れをたどって行く鉛筆の尖端が平野から次第に谿谷を遡上って行くに随って温泉にぶつかり滝に行当りしているうちに幽邃な自然の幻影がおのずから眼前に展開されて行く。
— 寺田寅彦 『夏』 青空文庫
誘はれて思はずひよいと振り向くと、私の眼は金縁眼鏡の政黨屋の卑しく笑ひ忍んだ顔とぶつかり合つた。
— 南部修太郎 『女盗』 青空文庫
ぶつかりそうに、後縋りに、あの二人に。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫