翕
翕
名詞
標準
文例 · 用例
祷には効あり、言には験ありければ、民|翕然として之に従いけるに、賽児また饑者には食を与え、凍者には衣を給し、賑済すること多かりしより、終に追随する者数万に及び、尊びて仏母と称し、其勢甚だ洪大となれり。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
殊に、征韓論で破れた板垣退助が、立志社を組織し、国会開設の建白を成すや、人心が翕然として集り、自由民権運動が、天下を風靡した。
— 菊池寛 『二千六百年史抄』 青空文庫
家中一同の同情は、翕然として死んだ二人の武士の上に注がれた。
— 菊池寛 『忠直卿行状記』 青空文庫
それもそのはずさ昔は一人えらい人があれば天下|翕然としてその旗下にあつまるのだから、愉快なものさ。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
よれからむ生皮の帆布は翕然としてひとつの怪像となる。
— 大手拓次 『藍色の蟇』 青空文庫
それまで政治以外に青雲の道がないように思っていた天下の青年はこの新らしい世界を発見し、俄に目覚めたように翕然として皆文学に奔った。
— 内田魯庵 『二葉亭四迷の一生』 青空文庫
その時分二葉亭は冷々亭|杏雨、率性堂、または翕々亭と称していた。
— 内田魯庵 『二葉亭四迷の一生』 青空文庫
これ実に新興文芸の第一声であって、天下の青年は翕然として文学の冒険に志ざした。
— ――新文学の曙光―― 『四十年前』 青空文庫