来着
らいちゃく
名詞動詞-サ変
標準
arrival
文例 · 用例
そんなことでK・S氏の作品展覧会は、逸作の奔走により、来着後数日ならずして、市中の最も枢要な場所に在るデパートに小ぢんまりした部屋を急造させて賑やかに開催された。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
そのうち特に著しいのは聖武天皇の天平十八年(一四〇六年)及び光仁天皇の宝亀二年(一四三一年)の如く渤海人千余人、つぎに三百余人の多人数が、それぞれ今の秋田地方に来着した事実で、満洲地方と交通が頗る自由に行はれたのは想像し難くない。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
そして林の中に君の姿が消えると同時に、君よりも先に此処に来着いてゐる心意で駆け降りて来たのだが、君の脚並みは余程速かつた。
— 牧野信一 『ピエル・フオン訪問記』 青空文庫
君が歌ふ声高らかな唱歌が、止んだと思つたら、もう君は此処に来着いてしまつた。
— 牧野信一 『ピエル・フオン訪問記』 青空文庫
二人はいつか滑川の川口の所まで来着いていた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
そして下宿屋に来着いた時には、息気苦しさのために声も出ないくらいになっていた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
それからと云うものは、塞ぐのでもなく萎れるのでもなく、唯何となく沈んでしまッて、母親が再び談話の墜緒を紹うと試みても相手にもならず、どうも乙な塩梅であったが、シカシ上野公園に来着いた頃にはまた口をきき出して、また旧のお勢に立戻ッた。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
袴は十年来着古した物だつた。
— 初出未詳 『茶話』 青空文庫