山羊鬚
やぎひげ
名詞
標準
文例 · 用例
その向い側には嫁女の実父で、骨董品然と痩せこけた山羊鬚の頓野羊伯と、その後妻の肥った老人。
— 夢野久作 『笑う唖女』 青空文庫
新婦の母親の頓野老夫人も、ちょっと中腰になって押止めにかかったが、新夫婦が強いて行こうとするのを見た頓野老人が、山羊鬚を扱いて老夫人を押止めた。
— 夢野久作 『笑う唖女』 青空文庫
長らくこの病院の留守番をさせられて、案内を知っておりまするので……」 栗野博士の背後から頓野老人が山羊鬚を突出した。
— 夢野久作 『笑う唖女』 青空文庫
漢学の先生に腮髯が付きもので、占者に山羊鬚が無くてはならんように、こう云う服装をしなくっては、画がうまそうに見えないと見える、しかし自画像で見るセガンティニは、神武天皇のような顔をして、服はまるで百姓みたいだ。
— 辻村伊助 『スウィス日記』 青空文庫
一見、田舎の村長さんみたいな、銀色の山羊鬚の生えた朴訥な風貌だが、隆い鼻、ひろい額は、さすがに世界的な大学者の品位をそなえていた。
— 山川方夫 『博士の目』 青空文庫
痩せた頬、くぼんだ眼、半白の山羊ひげをなびかせた老後の風采は少々仙骨を帯びた工合、といっていわゆる名人肌の奇行などは微塵も聞かず、平素もきちんとした羽織袴で技術に専心。
— 山本笑月 『明治世相百話』 青空文庫
山羊髯がだいぶ長くなつた、ユーモアたつぷりである、これが真白になつたらよからう、今では胡麻塩、何だか卑しい。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
彼は木炭紙に似たざらつく厚い紙の余りへ、山羊髯を生やした細面の父の顔をいたずらにスケッチして、どうしようかと考えた。
— 夏目漱石 『明暗』 青空文庫