応言
おうげん
名詞
標準
文例 · 用例
千余人からの浪士らの同勢が押し寄せて来た当時、飯田藩で間道通過を黙許したものなら、清内路の関所を預かるものがそれをするにさしつかえがあるまいとは、番士でないものが考えても一応言い訳の立つ事柄である。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
平林たい子氏、角田喜久雄氏、高田義一郎氏、橋本五郎氏、谷君之介氏、荒木十三郎氏、持田敏氏、宇野春氏、夢野久作氏、小鹿進氏等の諸氏に就いても、一応言及すべきですが、これは甲賀三郎氏が、その「新進作家評」に於て、大方論ずると思いますので、ここでは特にはぶくことにします。
— 国枝史郎 『探偵文壇鳥瞰』 青空文庫
範疇は歴史性と社会性とを有っている、と一応言っておこう。
— 戸坂潤 『思想としての文学』 青空文庫
ルナ子を連れてならばと、一応言へるけれども、これはまた異郷の空で、風俗習慣言語の障碍と戦ひながら、親子三人が平安な生活を送る予想はまつたくつきません。
— 岸田國士 『ある夫婦の歴史』 青空文庫
そしてそこまで狎れすぎるためには、木村重吉も自らそれと気付かぬところに、それに相応するだけの気持がなければならなかつた――さういふことは一応言へるに相違ない。
— ――夢と知性―― 『吹雪物語』 青空文庫
しかし、自殺ということを一応言っておきながら、ナイフを自殺用の道具と云いたてずに、護身用と云っているのは、子供らしく正直な良いところかも知れない。
— その一〔判官巷を往く〕 『安吾人生案内』 青空文庫
」と言ひさま抱き締めて否応言はさず接吻してしまつた。
— 永井荷風 『男ごゝろ』 青空文庫
「お前に少し訊きたいことがある――この紅と半襟は何のために持っている」 平次の調子は静かですが、いや応言わさぬ強さがあります。
— 紅筆願文 『銭形平次捕物控』 青空文庫