帰邸
きてい
名詞
標準
文例 · 用例
」「そんなら用は無い、もう帰邸としようの。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
一晩御帰邸相成りませぬで一統の者の心痛いかばかり、まずは御安泰にて恐悦に存じまする。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
こぼれるほどの愛嬌のある顔が、帰邸した気配がしてからすぐにも出て来なかった源氏を恨めしいと思うように向こうに向けられているのである。
— 紅葉賀 『源氏物語』 青空文庫
逢っている時が短くて、すぐに帰邸を思わねばならぬことを苦しがって、「夢のわたりの浮き橋か」(うち渡しつつ物をこそ思へ)と源氏は歎かれて、十三絃の出ていたのを引き寄せ、明石の秋の深夜に聞いた上手な琵琶の音もおもい出されるので、自身はそれを弾きながら、女にもぜひ弾けと勧めた。
— 薄雲 『源氏物語』 青空文庫
やっとのことでお許しが下がって帰邸することになった。
— 若菜(上) 『源氏物語』 青空文庫
女御にも女王にも琴はお教えにならなかったのであったから、このお稽古の時に珍しい秘曲もお弾きになるのであろうことを予期して、女御も得ることの困難なお暇をようやくしばらく得て帰邸したのであった。
— 若菜(下) 『源氏物語』 青空文庫
がその頃には、押鐘博士は帰邸していて、食事が済むと、今度は代り合って、法水が口を開いた。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
未だ久しからずして、松助片腕を斬られ鮮血淋漓として帰邸し、急変ありと告げ、邸門を閉ざし、非常に備へしむ。
— 池田屋襲撃 『大衆維新史読本』 青空文庫