炉裡
ろり
名詞
標準
文例 · 用例
彼が森の径を巡つてゐる時、牝狐は家で囲炉裡にあたつてゐた。
— 中原中也 『山間秘話』 青空文庫
」彼女は囲炉裡の所から扉の陰に行つて、そこで見張りをしはじめた、兎はもう一ぺん引返すだらうと思ひながら。
— 中原中也 『山間秘話』 青空文庫
見上げた破風口は峠ほど高し、とぼんと野原へ出たような気がして、縁に添いつつ中土間を、囲炉裡の前を向うへ通ると、桃桜溌と輝くばかり、五壇一面の緋毛氈、やがて四畳半を充満に雛、人形の数々。
— 泉鏡花 『雛がたり』 青空文庫
囲炉裡の灰の中に、ぶすぶすと燻っていたのを、抜き出してくれたのは、串に刺した茄子の焼いたんで。
— 泉鏡花 『薬草取』 青空文庫
村長様が、大囲炉裡の自在竹に掛った滝登りより、えッと大え。
— 泉鏡花 『夜叉ヶ池』 青空文庫
そこにおいて、終生……つまらなく言えば囲炉裡端の火打石です。
— 泉鏡花 『革鞄の怪』 青空文庫
…… お前様が温泉の宿で見さしつけな、囲炉裡の自在留のやうな奴さ、山蟻が這ふやうに、ぞろ/\歩行く。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
」「何、もう御覧の通、こちらは中庭を一ツ、橋懸で隔てました、一室別段のお座敷でござりますから、さのみ騒々しゅうもございませんが、二百余りの客でござりますで、宵の内はまるで戦争、帳場の傍にも囲炉裡の際にも我勝で、なかなか足腰も伸びません位、野陣見るようでござりまする。
— 泉鏡花 『伊勢之巻』 青空文庫